It's a small war

きみと僕とのあいだに起こる とるにたらない 小さな諍い

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神と虫と上着

小さい頃から古いものが好きでした。

実家の母は、古道具屋や骨董市に行くのが趣味で、古伊万里のなます皿や、
漆のお椀を買っては普段づかいの器にしていました。
と言っても、所謂「おしゃれなアンティーク好き」というわけでもなく、一度、商店街の
中にある質屋で文字盤の非常にうすべったい銀色の腕時計を買ってきたことがあり、
そういった「近所の誰かが最近手放した中古品」でもまったく抵抗なく使う人でした。
(後日談で、この時計が実はオーデマ・ピゲだった! というなんでも鑑定団ばりの
エピソードがあるのですが今回は割愛)


・・・という、どうやったらここから人形四方山話にたどり着くのか分からない話ですが、
それでもよい方は続きをどうぞ



そんな環境で育ったということも関係しているのか、私自身の「古いもの好き」
ルーツも、元をたどれば質屋にある気がします。

あれは小学校何年生のころだったか、クラスでは「切手集め」がちょっとしたブームに
なっており、子どもたちは家に来る郵便物の切手を水に漬けては剥がし、一枚ずつ
乾かしてアルバムに入れて集めていたのです。
もともと収集癖のあった私も大熱中しましたが、ある日同級生から、通学路の角にある
「しまや」という質屋で、珍しい切手をいろいろ売っているらしい、という情報を
仕入れたのです。

「しまや」は昔ながらの質屋でしたから、看板の外にはガラスばりのショウウインドウが
ひとつあるきりで、店の中は外からは見えません。
でも、そのショウウインドウの中には、カメラや指輪やクロコダイルのバッグに混じって、
友達が言ったとおり、見たことのない、珍しい切手も何枚かディスプレイされていました。

店の中へ入るには、扉の前に吊るされた、いわくありげな長い暖簾をくぐりぬけ
なければなりませんでしたが、私は珍しい切手欲しさに、ある日とうとう意を決して
一人でその暖簾をくぐったのを覚えています。
店は狭くて、カウンターの向こうには店主らしき初老のおじさんが座っており、私が
入っていくと少しだけ驚いたような顔をしました。
けれども、私が外のショウウインドウの切手が欲しいんです、というと、
「切手ならほかにもあるよ。良かったら見ていくかい」
と言って、店の奥から何冊もの切手アルバムを出してきて、自由に見せてくれました。

そこには今までに見たこともないような、色とりどりの古い切手がぎっしりと
詰まっていました。

「しまや」に通いつめたのは、どれくらいの期間だったのか、今では覚えていません。

けれども、店主のおじさんはとても気さくで、私が行くといつでもアルバムを見せて
くれました。それだけでなく、古い切手にまつわる色々なことを教えてくれました。
私は「しまや」の切手から、古いものの今のものとは違う色、文字のフォント、仮名遣いや
それぞれの時代をあらわすデザインやモチーフの面白さを知った、と思っています。

月のお小遣いなどゼロに等しい小学生でしたから、店主のおじさんにしてみれば
てんで商売にならないお客だったに違いないのですが、彼は私が店に何時間いても
決して嫌な顔をしませんでした。
質草の出し入れに来る別のお客さんとの間で色々難しい話になっても、邪魔に
されることもありませんでした。
(あのおじさんはとても偉い人だったんだなぁ!)


***


さてそんな質屋通いの子どもが大きくなってどうなるかというと、たんすの中身の
7割が古着、自分用の家具はすべて中古、車も20年落ちリッター4.5キロ。それでも
プリウスになどまったく興味が持てない、という惨状になります。

自分でも「これはおかしい」と思うほど古いものに囲まれていないと落ち着かないので、
多分我が家には私が「しまや」から連れて帰ってきてしまった「古物の神」のような
アヤカシがいて、私はそれに魅入られてしまったか、逃げられないように呪詛のたぐいを
かけられているのだ、と思うときがあります。

冗談ではなくその確信が深まったのは2年ほど前で、住むところくらいは新しいのが
いいなあと思って、見積もりを見て鼻血を出しながら何とか家を建てたら、完成と
同時に大黒柱が転勤。結果一度も住まずに他人に貸し出すことになりました。
転勤が終わって帰るころには立派な中古住宅の出来上がりです。これはすごい。
何がすごいって、「自分で注文した中古住宅」という、世にも不思議な物件なのである

古物の神の呪いはかくも恐ろしいのです。

しかし、お人形好きになってから思うのは(やっと人形の話になった)、同じ神様ならば
こんどはぜひ「お針子の神様」とかに憑いてもらいたいなーということです。
ドールサイトを見ているとお針子神はいろんな方のところへ順番に出没している
ようですが、うちに来てくれるのは神様どころかせいぜい「虫」です。
虫なのでどこからか突然入ってきて、こっちが知らない間に部屋の片隅で勝手に
死んでたりします。作りかけて完成しない服が多いのはきっとそんな虫のせい。

昨日もそのお針子虫が出現、あたりを元気にうろちょろしてるうちに何とかしようと
半日あがいたところ、ようやくハーフコートもどきができそうになりました。



R0012228.jpg



しかし、ボタンをつける前に、またしても虫はその短い生涯を終えたのであった


模様のあるコートの生地は型染めです。
染める前の白い布に、模様を切り抜いた型紙を重ね、糊を置いてから藍で染めると
糊をおいたところだけが白く抜けるので「型染め」。
花模様のように見える部分をよく見ると、瓢箪が輪になって連なってる不思議な文様です。
瓢箪だけ黒く染めてあるので、普通の型染めよりも手がかかっているかもしれません。

もともとは冬の夜、羽織ったまま寝られるように分厚く綿を入れて作った、大正時代の
「かいまきふとん」の襟の部分なのですが、例によって古物の神が耳元で 「これは古い。
そしてとてもいいものだぞ。どうだ、欲しくなってきただろう」と囁くので、ついつい衝動買い
してしまいました。
つまり、古物の神とお針子の虫による合作、と言っても差し支えないのではないだろうか

ボタンついてないけど





いつも拍手をありがとうございます。
お知り合いの方のところへはのちほど!
 
私信1:Iさん、先日メルフォからお便り差し上げてしまったのですが、無事に届いていますか?(と今更こんなとこでいうのも自分がメルフォに使ってるアドレスってそれ専用なため滅多にチェックしないので、Iさんもそうだったら分からないかも! と不安になった次第です(笑))

私信2:M豆さん、私またしてもうっかりしていました。し、新住所を教えてください(こんなとこで言うな)

私信3:Sさん、天使の囁きに光の速さで「お願いします」と言いに行くのでもう少々お待ち下さい

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